80年代中盤のトー横キッズ!? 「東亜会館」
バブルの話が出たところで、第3話、兄弟格差にすっかりこじらせた啓三(生瀬勝久)が家出して時間をつぶしたという「東亜会館」について振り返ってみよう。
「東亜会館」はコマ劇場の向かい、噴水の脇にある8階建てのビル。現在は居酒屋などが入っているが、1980年代半ば、ここにはディスコがひしめきあっていた。「GBラビッツ」「B&B」「ギリシャ館」通称「グリース」、「BIBA」――。
なかでも「BIBA」と「グリース」は、社会人はおろか大学生がほとんどおらず、中高生でいっぱいだったという。
昼の12時にオープンということもあり、学校にも家にも行きたくない、いわゆる「居場所のない子供たち」のたまり場としては最高だったろう。
啓介(柄本明)が、家出して東亜会館に通っていた啓三について「昔のトー横キッズだな」とヨウコに説明していたが、いつの世も、あぶれ者のたまり場はでき、とても魅力的に盛り上がる。そして、あぶれていない人までが集まり、飽和状態になり、別の場所に移る――という繰り返しだ。
原宿、渋谷、池袋。時代に合わせてたまり場は動いていく。なかでも新宿歌舞伎町は、強い引力があるらしい。ちなみに、今年の8月25日、東亜会館地下の巨大クラブWARPにて、昭和のディスコ文化を復活させる「TDC 2024 TOKYO DISCO CIRCUIT in 東亜会館」が開催されるようだ。啓三も参加するのだろうか、と想像すると楽しい。
第4話はイ・オンナとヨウコが再会。しかしなにより、予告の最後、亨がヨウコに放つ、
「英語と岡山弁、混ぜて喋っていいのは藤井風だけ!」
という言葉のパンチがすごい。あのセリフがどういう流れで出てくるのか、楽しみである。
第2話で大好きになったダイスケ・ダルメシアン三世(細貝圭)の再登場も待つ!
(文・田中稲)
【関連記事】
【写真】新宿の”今”と”昔”が混在する…どこか懐かしさを感じる珠玉の劇中カットはこちら。ドラマ『新宿野戦病院』劇中カット一覧
腹が立つが魅力的…“不適切”を経た宮藤官九郎が“雑”にこだわる理由とは? ドラマ『新宿野戦病院』第2話考察&評価
ホスト、トー横キッズ…ではなくまさかの「シニア問題」。クドカンが描きだす今とは? 『新宿野戦病院』第1話徹底考察&評価