非現実的に見えたヨウコの設定がここにきて効いてくる…。
飛び交う情報と名言
ドラマに話を戻そう。ストーリーが進むごとに、豆知識も増えていく。
岡本による非番ネタのほかにも、
・新宿区には、ホームレスを座らせないため、カーブを描いた「意地悪ベンチ」がある
・親族も4等親以降なら結婚可能(いとこはOK)
それに加えてヨウコ(小池栄子)が、アメリカと日本の比較まで披露してくれるのだ。
・日本ではわいせつ罪は最長10年。「短けぇ」。アメリカじゃ性加害最長30年。
・アメリカには国民健康保険制度がない。高齢者はメディケア、低所得はメディケイトしかなく、民間の保険会社に入るしかない。それが「でぇれぇ高い」。お金を出せば出すほど医療が受けられるので、格差が広がる一方。
・日本の救急車はタダで呼べるが、アメリカは1回1300ドル(20万円)と「でぇれぇ高ぇ」。そのため重症者しか呼ばない。
なるほど、アメリカで軍医を13年やっていたという壮大なバックボーンが、こういうところで効いてくる。最初は、そんな非現実的な設定いる? と思ったものだが、今となっては、でぇれぇ勉強になります…。
そのほかにも、シンプルに、お守りのような名言も多かったので、書き記しておこう。
軍医をしている経験から、最期を迎える人にかける慰めの言葉はないが、「Laugh(笑い)」は大切だというヨウコ。
「人は最後の瞬間まで生きようとするけん、脳が楽しいと錯覚して持ち直すんじゃ」。
マイナンバー保険証についても、
「対応できないものは、でぇれえおる。そういったものを排除せんでくれ。何でもかんでもアメリカのマネをせんでええんじゃ。日本人は日本人のやり方で」
沁みる。ドラマを通し、生きるための強いメッセージを感じた。
また、白木さん(高畑淳子)による、アントニオ猪木の「元気があればなんでもできる」のオマージュ「現金があればなんでもできる」も、身もふたもないが、経理の道42年の彼女らしい、リアルな名言である。