宮藤官九郎と制作陣が散りばめた笑い

　しかし今回注目されたのは、宮藤官九郎の脚本や、製作陣の茶目っ気溢れる演出だ。

　まず、ゴールデンタイムのドラマであるにも関わらずSM嬢と客の交わりが全面的に押し出され、その間に挟み込まれるセリフにも多くの視聴者が反応を寄せていた。

　享が、舞の客である啓三に対し「親父でもぶたれたことあるのに」といったセリフには、これまでにないセンスを感じてしまった…。さらに、かつてSM嬢の芸風で一世を風靡した、にしおかすみこが現在親の介護をしているという話があれば、今回のSM嬢にエピソードに絡めて「にしおかすみこも親の介護してるしねー！」と言わせてしまう。

　これにはSNSでも、「SMのくだり腹筋千切れるか思ったわ」「今週の新宿野戦病院おもろい」と絶賛の声で溢れたと同時に、「体の不調で攻めるってどういうプレイよ」と、ツッコミも。

　さらに、啓三と亡くなった奥さんの旅行の写真には、わかる人にはわかる少々毒の効いた笑いも散りばめられており、「自民党女性議員の何も意味なかった海外研修旅茶化してて笑う」といった核心に迫る投稿も寄せられ、物語の筋とは離れたところでも笑いを逃さない演出が視聴者の心をくすぐった。

　そして次回、これまで濁されてきた塚地演じる堀井さんの性別について明かされるようだ。なんとなく触れてはいけないような空気を共有していたが、頭の隅でいつも気になっていた堀井さんについて多くの人が興味津々だ。

　だが、少しセンシティブな話題であることは考慮した方が良さそうだ。ドラマ『新宿野戦病院』公式Xにも以下のように注意書きが記されている。

【第7話ご視聴される皆様へ】 第7話では、「堀井しのぶ」というキャラクターのジェンダーについての描写やそれに関するシーンがございます。ん。 物語の可能性の1つとして、堀井しのぶの生き方を見届けて受け取ったらと思います。（原文ママ）

　次回も多くの人の期待を超えるエピソードが展開されるはずだ。

（文・野原まりこ）

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