橋本愛が醸し出す都会感と闇を伴う魅力とは? ラストの展開に戦慄したワケ。ドラマ『新宿野戦病院』第9話考察&評価
text by 田中稲
小池栄子と仲野太賀がW主演のドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系)が現在放送中。宮藤官九郎の最新作である本作は、新宿歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、様々な”ワケあり”の患者が訪れる。今回は、第9話を多角的な視点で振り返るレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:田中稲】
ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。
橋本愛が醸し出す「新宿感」の凄み
岡本(濱田岳)と南舞(橋本愛のカップル誕生の瞬間!? ラブホテルのシーンからの、フランス語のナレーションで始まった第9話。今回は、橋本愛演じる南舞のツンデレのふり幅を存分に堪能できる回であった。
岡本が、ラブホテルに置き忘れた舞の「NOT ALONE」の赤いユニフォームを渡した時の「…ありがと」という、一線を超えた人にだけ見せるような含みのある笑顔。そのあとの、突き放すような「もういいよ帰って」の氷の真顔!
観ているこちらも、振り回されたくなってしまうではないか。宮藤官九郎は、橋本愛の魅力を120%活用している!
アメリカから来て、誰にでもオープンマインドに接するヨウコ(小池栄子)と真逆、歌舞伎町に咲く、ミステリアスな裏ヒロイン。自分のバックボーンは細かく話さない。
享(仲野太賀)が「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」と命名していたが、ナイスネーミングだ。彼女が醸し出す都会感と漆黒の闇と迫力を伴う美は、物語を動かす秘密の暗号のようである。