小雪の演技力と圧倒的な存在感
第8話終盤で、九条がカメラに向かってニヤリとしたときの衝撃が忘れられない。一晩経っても、あの恐ろしい表情が頭のなかにこびりついている。
ちなみに、九条は台詞数が少ないため、表情だけでその裏にある思惑を感じさせなければならない…という難役だ。また、登場シーンがそこまで多くないにも関わらず、いつも物語の中心にいなければならない。小雪の演技力と存在感があったからこそ、『スカイキャッスル』は視聴者をこんなにもゾワっとさせることができたのだと思う。
瑠璃と九条のやり取りを見ていて、「もしも思春期に九条と出会っていたらどうなっていただろう…」と恐ろしくなった。思春期は、まわりの大人はなにも分かってくれないと思い込んでしまいがちな時期でもある。
瑠璃のように親に不満を抱くことがあっても、だいたいの大人は「そんなことを言うものじゃない」「親には感謝をするべきだ」と諭すもの。
しかし、九条は一緒になって親の悪口を言い、「わたしは、あなたの味方よ」と寄り添ってくれる。大人になると、「責任がないから、甘い言葉をかけられるだけ」と気づくことができるが、まだ幼い瑠璃や遥人(大西利空)が、“この人はふつうの大人とはちがう”と思うのも無理はないのかもしれない。