“親”への復讐にとらわれた九条(小雪)
「どの親も、みんな子どものことを愛してるんだから」と言う人がいる。そう言える人は、親からまっすぐに愛情を注がれてきたのだろう。でも、そうじゃない子どももいて、そうじゃない親もいる。とくに、過保護や過干渉の親を持つことで悩んでいる子どもは、「でも、あなたのことを愛しているがゆえのことでしょ?」なんて諭されてしまいがちだ。
個人的には、親の存在が“呪い”になっているのなら、いち早く自立をすればいいし、そのことに対して罪悪感を抱く必要はないと思う。でも、九条(小雪)のように、苦しめられた分だけ、親を苦しめようとするのはどうだろう。
九条の母親は、紗英や香織のように、教育熱心で過保護で過干渉だった。だから、決別しよう…と思ったところまでは理解できるのだが、親を絶望させることで復讐をしてやろうと考えたのは捻じ曲がり過ぎているように思う。
親を絶望させるために受験勉強をして、親を絶望させるために合格した学校の入学拒否をする。それだと、九条の人生はいつまでも母親に囚われたままにならないだろうか。