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こんな役、中島健人にしかできない…肝心のドラマの完成度は? 『しょせん他人事ですから』第1話考察&感想レビュー

text by 柚月裕実

中島健人主演のドラマ8『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』(テレビ東京系)が7月19日(金)よりスタートした。原作・左藤真通、作画・富士屋カツヒトによる同名コミックを原作としたリーガルドラマ。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・柚月裕実)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:柚月裕実】

エンタメ分野の編集/ライター。音楽メディア、エンタメ誌等で執筆中。コラムやレビュー、インタビュー取材をメインにライターと編集を行ったり来たり。SMAPをきっかけにアイドルを応援すること四半世紀超。コンサートをはじめ舞台、ドラマ、映画、バラエティ、ラジオ、YouTube…365日ウォッチしています。

身近な問題の”その先”を見せてくれるリーガルドラマ
第1話ではSNSの炎上がテーマ

©「しょせん他人事ですから」製作委員会
『しょせん他人事ですから』第1話©「しょせん他人事ですから」製作委員会

 その人がいるだけで場の空気がピリッとする。誰しも二度、三度そんな経験があるだろう。しかし、穏やかそうな人が突然、ドライな対応を見せる瞬間もまた独特な空気を放つ。

 中島が演じる保田理は、ふわふわのウェーブがかった金髪で、足元は艶のある飴色の革靴に、使い込んで味の出た茶色のレザーバッグ。そして深いグリーンのスーツに、胸元の弁護士バッヂがよく映えている。デスクの上に置かれた六法全書のような色づかいだ。かっちりとしているものの、“いかにも”な弁護士像とは少々かけ離れている。

「無料法律相談会」で、様々な相談者の対応にあたるものの、相手の気持ちに寄りそうことなく、サラサラと冷静に言葉を返し…終いには「このクソバカ弁護士が! 」と相談者から怒鳴られてしまう。保田は正論を語っているものの、髪色とどことなくギャルっぽさを感じる淡々とした口調のせいかもしれないが親身さは伝わってこない…。人を見た目で判断するなとはいうものの、親しみやすそうに見えて、発言はそうでもない。掴みどころのない人物だ。

 続いてやってきたのが、主婦ブロガーの桐原こずえ(志田未来)。鳴り止まないスマホの通知で知った自分への誹謗中傷。ホス狂いなどと事実無根な虚偽の情報が流れた上に、電話番号が晒されてしまったことで、心無いいたずら電話がかかってくる始末。そんな事情を話すうちに桐原はたまらず涙を流す…。

 そんな相談者を前に、保田が放った言葉は「桐原さん、泣いてないでちゃんと説明してください」。眉が動き、口角があがった。悪気はなさそうだ。続けて「無料相談は短いので時間がもったいないですし、僕はセラピストでもなんでもないので簡潔、かつ具体的に説明をお願いします」。

 にこやかな表情に、お手入れの成果が見える頬の艶玉が光る美肌。それなのに…表情や見た目からは想像のつかない言葉がするすると出てくる。保田の事務所に「他人事」という掛け軸が掲げられているように、彼にとって生業にしている法律相談であっても他人事なのだ。

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