ネットの誹謗中傷の殆どが”軽い気持ち”
「おもしろそうだから実験でやってみましょうか」ーー当時まだレビューサイトができたばかりで、前例がないのでやってみましょうと保田。20万ではなく、10万円でどうかと麻帆に提案する。
前例がない=過去の判例も少なく、海外に拠点があるサイトでは手続きも困難だ。しかし保田は椅子をくるりと回しながら資料を読み漁るなど、生き生きとした様子で進めていた。“他人事”という掛け軸とは裏腹に、仕事には随分と前のめりだ。
さて、喫茶柏原でアルバイトをする大学生の高梨隼人(本田響矢)。当時、就職活動がうまくいかず、やきもきする日々を送っていた。そんな中、店の炎上をきっかけに店頭でビラを配って呼び込みをするなど、信頼回復に一役買っていたのだが…。
保田も麻帆もしばらくして犯人を特定していた様子だが、すぐにその人物を責めることはなかった。「IPアドレスの情報が開示されました~」と報告をしに来た時の保田は、麻帆と隼人を前に、視線を平等に振り分けながら丁寧に話を続けた。
陽気な口調は現在と変わらず、だが少し視線の動かし方を変えて、過去に起こった“バイトテロ”の実例を紹介。その語り口はやや神妙で、含みを持たせていた。
保田はじわじわと隼人に自白を促していたのだ。隼人は就活がうまくいかず、そのやり場の気持ちを、喫茶柏原の悪評をレビューサイトに投稿していた。
「こんなに大事になるとは思わなくて」とこぼす隼人に、保田は「みんなそう言うみたいですね」「深い理由なんてない」、ネットの誹謗中傷はそんな軽い気持ちが殆どだと言う。
でも、そんな軽い動機でも、人が人生をかけて積み重ねてきたものが一瞬で壊れてしまう。
指一本で他人の人生を変えてしまう事の重大さを訴えていた。これが世に広く届いて、人々の心に響いてくれると良いのだが…。