保田の言葉が視聴者にも刺さりまくり!
後に、黒川と鏑木が久しぶりの対面を果たし、謝るのは難しいと語っていたが、誰しも言葉や文字で伝えることはできるはずなのに、必要な人と向き合い、正直な気持ちを伝えるのはなぜだか難しい。匿名で他人についてあれこれ言うのは驚くほど簡単にできてしまうのに…。
画面の中の保田は「人が不幸なのって楽しいでしょ」「要するに人の不幸は蜜の味」と、誹謗中傷の根源はしょせん他人事だと語り、一貫している。そしてカメラに向かって「誰でも心当たりはあるはずです」と語り掛けた。保田らしい口調で語る中でもこの言葉にハッとさせられた。
黒川にかけた言葉も刺さるものがあった。「自分に非があったとしてもデマや誹謗中傷に怒る権利はあります。償い、反省したなら前を向く権利だってある」。
現実でもこうした気づきを与えてもらえる機会は思いのほか少ない。保田は知識武装ではなく、フラットなスタンスでありながら自分や相手のことを考え、物事の本質を見極める。“他人事”と謳い、一見冷徹にも見えるが、彼の言葉には妙な説得力がある。
そして思いやりもある。放送を通じて黒川をはじめ、多くの人にメッセージを発信した保田。コメンテーターの役割を立派に果たした。もちろん相談できる相手=弁護士としても。
誹謗中傷をする人も、その被害を受けた人も、目線や心の持ち方が変わるような、保田の名言がたくさん飛び出した第5話。インパクトのあるキャラクターを演じ、独特なセリフ回しでも、説得力を持たせられる中島の演技にも唸った回だった。
(文・柚月裕実)
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