複雑な心情を繊細な演技で表現
第1話の終盤、息子の前では気丈に振舞うものの、幼なじみとの対話で思わず感情が溢れ出て泣いてしまう。セリフにはなかったが、妻を亡くしたこの3カ月がどれほどのものだったか、俊平の気持ちが痛いほどに伝わってきた。
2022年には「雪女と蟹を食う」(テレビ東京系)で主人公・北役を演じた。冤罪によって人生が狂ってしまい一時は死を決意するもののそう簡単にはいかず。自暴自棄になる中で、セレブ妻・彩女(入山法子)との不思議な旅が始まった。会話のラリーではなく比較的もの静かな作品で、北は彩女の心が読めず、互いに心が通じていない、どうしても埋められない隙があることを、様々な場面から感じ取った。
重岡は今作でも、ミステリアスな花を前に、翻弄されかけてブレーキを踏むような様子など、なんとも言いがたい複雑な心情を心の声と表情で表現している。人物の過去や葛藤、心の置き所など、会話はもちろんのこと、静かな場面でも重岡の演技力が発揮されている。
さて、東京で娘との2人暮らしがスタートしたゆり子にも新たな展開が。また一つ新しい騒動が巻き起ころうとしている。花に関係するのか不穏な場面も登場と、徐々にミステリー要素が強まってきただけに、この続きが気になって仕方ない。
(文・柚月裕実)
【関連記事】
なぜ視聴者を翻弄? 重岡大毅の”たじたじ演技”がリアルすぎる…ドラマ『単身花日』第1話徹底考察& 感想レビュー
ツッコミどころ満載?伝説の昼ドラとの共通点とは?『単身花日』第2話考察& 感想レビュー。新木優子”花”の怪演にも注目
中島健人が熱演も…釈然としない展開に賛否? 映画『お前の罪を自白しろ』考察。タイトルに込められた意味とは? 徹底解説