「トキコイ」の秘密が詰まったシナリオブック発売
さて、突然だが、みんな大好きトキコイのシナリオブックが発売されるそうだ!
シナリオブックとは、本来キャストやスタッフだけが見ることができる脚本を、我々視聴者も目にすることができる、ファンにとってはたまらない情報をまとめたスペシャルな本だ。
ドラマの撮影は基本的に脚本に基づいて制作されていく。よく耳にする絵コンテはドラマではほとんど用いられないため、この脚本が、撮影を進めるにあたって設計図的な役割を果たす。トキコイに関しては伏線が多くあるため、映像ではぼかされていた真実が詳細に記されているに違いない。
だが、シナリオブックを見ることで浮かび上がってくることがもう1つある。
実は演技というのは、脚本に書かれていることをただやるだけではないということだ。何もリアルで自然な演技だけが評価される対象ではない。本作でいうところの翔は、実は一番難しい役なのではないだろうか。なぜなら脚本にはセリフやその後の流れが書いてあっても、“どのようにふざけるか”までは書かれていないはずだ。
翔は終始ふざけた雰囲気でいるが、あの演技は恐らく永山瑛太のアドリブであろうと推測できる。もちろん、脚本・上田誠の世界観を理解した上で、どのようなキャラクターを作り上げるのかは事前に決まっていることだろう。
だが、コメディーは演じるのが何よりも難しいものなのだ。何故なら、あざとさや、面白いでしょ感が出るとたちまち視聴者の心が離れてしまうからだ。
シナリオブックを見ることで、あの動きや声の出し方は瑛太の演技力や持ち前のセンスが発揮された、彼にしかできない役であることがわかるだろう。
(文・野原まりこ)
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