「地獄を見る覚悟はある?」米津玄師の主題歌に隠されたメッセージとは? NHK朝ドラ『虎に翼』考察&解説レビュー
text by あまのさき
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』は、昭和の初期に“結婚こそが女性にとっての唯一の幸せである”という固定観念価値観に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士になった人物の情熱あふれる姿を描く。第1週からドラマチックな展開を繰り広げる、本作のレビューをご紹介。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
男尊女卑の時代に女性のために戦う…女性初の女性弁護士の物語
結婚こそが女性にとっての唯一の幸せであるという固定観念から、ようやく解放されつつある。それでもやはり、結婚しないこと、孫の顔を見せようとしないことは、親不孝だと後ろ指を刺されることもある。令和になってなお。
昭和の初期にこの価値観に真っ向から立ち向かった人がいる。主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)は、自身の幸せにとことん向き合い、努力を重ねた結果、日本で初の女性弁護士になった人物”三淵嘉子”をモデルとした人物だ。
女学校に通う寅子は母・はる(石田ゆり子)が用意してくれた見合いに、とことん失敗する。最初こそ気乗りせずに無愛想を貫いていたものの、3度目には両親の思いに応えようと前向きに取り組む。
相手も「妻になる人とはいろいろな話題を語り合いたい」と言ってくれた。学があり、好奇心旺盛な寅子にとって、この言葉がどれほど嬉しかったか。だが、矢継ぎ早に自身の見解を述べる寅子に見合い相手は激怒。「女のくせに」と吐き捨てて、食事の場からいなくなってしまった。
はるの「賢い女性が幸せになるには、頭の悪いふりをするしかない」という言葉が重くのしかかる。別に寅子は賢いと褒められたいわけではなく、ただ対等に話がしたいだけなのに、それすらも許されない。それは女性に求められる役割ではない。そうやって時代が寅子をはねつけているようだった。