戦争の悲しみを癒すホーナーのチョコレート
そんな折、寅子は花岡(岩田剛典)と再会する。闇商売を取り締まる仕事をしているという花岡からは覇気が感じられず、お弁当は正規のものしか購入できずにいるからか、闇市で購入したお米が詰まった寅子のお弁当よりずいぶんと質素だった。
でも、花岡はどこまでも花岡だ。自分のお弁当をすっと隠した寅子に「変わらないね」と言い、「前も今も、全部君だよ。どうなりたいかは自分で選ぶしかない」と優しく声をかける。梅子(平岩紙)からの受け売りだったが、寅子の心にはじんわりと沁みたはずだ。
その夜、ホーナーが寅子の家にチョコレートを届けに来てくれる。喜ぶ子どもたちを見て、涙を流すホーナー。日本人にとっては仇であるアメリカ人のホーナーだが、彼もまた戦争で家族を失った経験があった。「戦争で傷ついてない人なんていない」。だから、いつまでも憎しみ合っているわけにはいかないのだ。チョコレートを美味しそうにほおばる子どもたちの未来のためにも。