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梅子の心を折る過酷な環境

連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説虎に翼©NHK

 一方、梅子は、夫の遺言書の検認のために家裁にやって来て、寅子と久しぶりの再会を果たす。高等試験の日、三男・光三郎(本田響矢)を連れて家を出たものとばかり思っていたのだが、結局連れ戻されて、病に倒れ麻痺が残った夫の面倒を見させられていたらしい。離婚を言い出したのは夫側なのに、梅子のことを一体なんだと思っているのか。

 しかも、夫には妾のすみれ(武田梨奈)がいた。妻に介護される身でありながら妾がいることにも驚いたが、さらに驚くべきは遺言書に全財産をすみれに相続させる、との記載があったこと。実際にはこの遺言書の偽造が発覚するのでよいのだが、このすみれという女性はこのあとも梅子の家族を狂わせる。

 法律に則れば、夫の遺産は梅子が3分の1を、息子たちが残りを等分に分けることになる。しかし、息子たち、特に長男は自分が家督を継ぐから全財産を管理すると言って聞かない。

 一時はそれに姑の常(鷲尾真知子)も同意していたが、突然、やっぱり光三郎に面倒を見てほしいと言い出したりする。私利私欲がむき出しすぎて、もはやちょっと笑えてくる。こんな環境にいたら、そりゃあ梅子も諦めの境地に達してしまうだろう。
 

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