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わかりにくいと賛否両論…”穂高”にブチ切れる”寅子”に垣間見える甘さとは? NHK朝ドラ『虎に翼』解説&感想レビュー

伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。「女房百日 馬二十日?」と題された第14週では、法曹界の重鎮が2人、去ることとなった。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

岡田将生に腹の読めない男を演じさせたら右に出る者はいない

連続テレビ小説『虎に翼』第14週
連続テレビ小説『虎に翼』©NHK

 「女房百日 馬二十日?」と題して2人の偉大なる人物の死が描かれた第14週。

 寅子(伊藤沙莉)は、甘味処・竹もとで久藤(沢村一樹)から星朋彦(平田満)の著書「日常生活と民法」改稿の手伝いをオファーされる。このとき、同席していた桂場(松山ケンイチ)は、忙しいだろうから断ってもいい、というのだが、寅子はこれを引き受ける。

 そして、改稿作業がはじまった。だが、そこに星の姿はほとんどなく、星の息子・航一(岡田将生)と2人ですることになる。この航一がなんだかちょっと独特で面白い。寅子を値踏みするみたいに黙って観察したかと思えば、寅子の言葉を否定せずに「なるほど」と受け止める。

 完成した「日常生活と民法」の装丁には、「補修」として寅子と航一の名前が載った。最初こそ謙遜していた寅子だったが、かつて優三(仲野太賀)が「いつか法律の本を出すのが夢」と言っていたことを思い出し、「代わりに夢を叶えたことにしちゃおうかしら」とうれしそうだ。それを見た航一は、また「なるほど」と言いつつこちらもうれしそう。はじめは寅子に対していい印象を持っていないのか……?なんて勘ぐったけれど、どうもそうではないみたい。近年の岡田将生は腹の読めない人物を演じさせたらピカイチだと思うのだが、今回の航一は怖いほうの読めない人ではないようだ。

 この改稿版には新たに星による序文が加えられた。戦争に敗れて改訂された民法が国民になじむまでには工夫や努力が必要であり、時間も要する。人がつくったものだから古くもなるし、間違いもある。だからこそ、民法が早くなじんで、正しいものに変わっていくことを望む、と。星からの、贈り物のような温かい言葉だ。“そのときの自分にしかできない役目”を全うしたであろう星は、本の出版を待たずして亡くなった。

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