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出るわ出るわ寅子への不満…空回る主人公の心に最も刺さった言葉とは? NHK朝ドラ『虎に翼』解説&感想レビュー

伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。「女房は山の神百石の位?」と題された第15週では、寅子は世間と、そして家族とのズレを身をもって知ることに…。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

世間からも家族からも浮いた存在になってしまった寅子

連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説『虎に翼』©NHK

 アメリカでの視察を終え、サーモンピンクの華やかなワンピースに身を包んだ寅子(伊藤沙莉)は、なんだかちょっと浮いている。それは洋服のせいじゃなく、寅子が無自覚に身に着けてしまった自意識が、世間との間の見えない隔たりになってしまったから。

「君もいつかは古くなる」という穂高(小林薫)の言葉が、ものすごい速さで回収された第15週「女房は山の神百石の位?」。

 寅子がそろそろ帰宅するのでは、と花江(森田望智)が声をかけると、子どもたちはそそくさと勉強してる風を装う。「寅ちゃんはこういうのが1番喜ぶから」。帰ってきた寅子は、お土産として花江には美容クリームと料理の本を、子どもたちにはお菓子と洋書を贈る。きっと、それを喜ぶと思ったから。

 なんだかチグハグだ。

 そんな寅子に密着取材をしたいと、竹中(高橋努)から依頼がくる。家にやってきた竹中も、チグハグを感じ取ったようだ。ロールキャベツを包もうとする寅子の手際の悪さや、よそ行きの顔をした子どもたち、それにさも満足そうにしている寅子……。さらに、女性司法修習生たちを前に「あなたたちは恵まれてる。がんばらないと」と当然のように語る。

 そして、離婚調停を担当した福田夫妻の妻・瞳(美山加恋)からは、「女の味方じゃないの?」と詰め寄られるも、夫がその務めを果たしていたのならば…という姿勢を崩さない。最終的には「恵まれた場所から偉そうに」と、瞳に刃物を向けられてしまう。

 ずっとチグハグだ。寅子だけが、周りと違うものが見えているみたいに浮いている。

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