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娘と二人で、新潟の地へ

連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説『虎に翼』©NHK

 寅子の言動には改めるべきことも多いし、花江たちとともに東京に残ることが優未にとっての幸せなのかもしれない。寅子自身も、離婚調停で親権問題の渦中にあった少年・栄二に「頼る大人は親である必要はない」と言っていた。でも、寅子の気持ちはいいのだろうか。栄二の場合は、両親がともに親権を放棄したがっていた。親であることを辞めたがっていた。

 でも、寅子は違う。優未の親であることを諦めるつもりはなかったはずだ。この点、どうするかを優未でなく寅子に決めさせた花江は偉いと思う。子どもの人生がかかっている、だからこそ、花江は「責任」という言葉を使って、寅子に親としての自覚を今一度問いかけたのだろう。

 そして、新潟への壮行会で再会した香子(ハ・ヨンス)の、娘のために崔香淑としての自分を捨てたと語る言葉もまた、寅子に親としての自覚をもう一段回強く芽生えさせたはずだ。

 寅子の異動が決まり、ライアンや、寅子を泣きながら送り出す多岐川だけでなく、桂場(松山ケンイチ)にも愛され、頼りにされる存在であったことがわかった。新潟行きは、寅子にとって裁判官としても親としても、大きな成長を促す機会になるだろう。

 次回予告の騒々しさが、すでにそれを予感させる。手助けしてくれる人の少ない環境に置かれた寅子は、いままで以上にじたばたすることになるはず。優秀でも完璧でもない寅子の姿を目にする機会が増えることが、いまだに“スン”の仮面をかぶり続けている優未の心を解きほぐすきっかけになることを願っている。

(文・あまのさき)

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