岡田将生の再登場に湧いたワケ。 ”優三” の存在が娘との関係修復のきっかけに…NHK朝ドラ『虎に翼』解説&感想レビュー
text by あまのさき
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。「女やもめに花が咲く?」と題した第16週では、新潟に赴任した寅子が、風土や娘との関係修復に頭を悩ませる。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
「持ちつ持たれつ」
地方のやり方に寅子はどう対応するのか
新潟県三条市への異動が決まった寅子(伊藤沙莉)。務めを全うすべく勉強し直しているという寅子に対し、桂場(松山ケンイチ)は「事件だけでなく、すべてだ」と支部長の仕事の何たるかについて釘をさす。「女やもめに花が咲く?」と題した第16週では、文化の異なる新天地での寅子の奮闘ぶりが描かれた。
まずは仕事の面。支部長として新潟地家裁三条支部へ赴いた寅子は、予想外の大歓迎に困惑する。だが、弁護士の杉田兄弟、特に兄の太郎(高橋克実)を筆頭に、なんだか様子がおかしい。とってつけたような笑顔と柔和な態度を見せつつ、その圧で寅子の動きを封じてくるような感じがするのだ。
浮き彫りになるのは、山林の境界線を巡る調停を担当したときのこと。地元の有力者である森口の弁護人となった太郎は、その土地の風土というものがあることを強調してくる。法に則って、という寅子の弁を否定はしないながらも、地域で力を持つ人との間に波風を立てないように促す。
そして、「持ちつ持たれつ」という言葉を盾にして、商店街の人たちに寅子の家へと夕飯のおかずを持って行かせる。それが立派な金目鯛の煮つけだったり、豪華なお刺身だったりするのだ。月末にまとめてお金を払えばいいとは言うけれど、もはや賄賂のようなものだ。