航一(岡田将生)が良き相談相手に?
寅子の涙に気付いたのは、意外な人物だった。寅子より先に新潟の本庁へ異動となっており、三条支部へも顔を出していた星航一(岡田将生)だ。頭髪に白いものが混じっている航一だが、寅子の顔をじっと見て「夕べ、泣きましたか?」と問いかけるなど、観察眼の鋭さは変わらない。
高瀬の一件を聞き所感を述べる航一の「死を知るのと受け入れるのは違う」という言葉が、寅子の心にも沁みていく。自身も早くに妻を亡くしている航一だからこその説得力もあった。
優未と優三は、たぶんとてもよく似ている。緊張するとお腹が痛くなるところもそうだし、美味しいものは分け合って2倍美味しくしようとするところも。
寅子は、優未に優三の話をすることを決意する。優三がどんなふうに不器用な人だったのか、そして、どうやって緊張をほぐしたのか。いつになく優しい顔になっている寅子から、優三と、その先にいる優未への愛情が伝わってくる。
じわじわできてしまった溝が、たった1度の対話で埋まるわけはないけれど、これをきっかけに、少しずつ埋まることを願う。
それにしても、航一は足繁く三条支部へやって来る。書類の受け渡しという理由があったし、そういうものなのなのだろうか……と思ったが、寅子も疑問に感じたらしい。
「よくいらっしゃいますね」に対して、航一は「心配性なので」と受けていた。慣れぬ土地で支部長となった寅子を心配して。いや、おそらく仕事面の心配だけではないだろう。今後、寅子が週に1度本庁へ行くことになり、顔を合わす機会も増えるだろう2人。「女やもめに花が咲く?」の「?」が取れる日が、早々にやってくるかもしれない。
ただ、その前に、新潟市内のカフェで働いているらしい涼子(桜井ユキ)だ。かつての寅子の同士である涼子の高等試験を諦めてからの人生が、ついに描かれることとなりそう。彼女は一体どんな日々を過ごしていたのだろう。月曜日の放送が楽しみだ。
(文・あまのさき)
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