寅子、察しが悪すぎる…。
航一から寅子へのアプローチ
「お嬢様」から「涼子ちゃん」と呼び方を改めた玉は、なんだかうれしそう。そして、2人の店では寅子の計らいで花江の実家で女中をしていた稲(田中真弓)も働くことになった。家族を亡くして寂しいから、と優未の世話を率先していた稲だったが、寅子たちは、いつかは東京へ戻ってしまう。
いま目の前の寂しさを埋めることではなく、寅子は稲に繋がりを増やすことで寂しさから解放しようとした。涼子や玉と働く。お店の常連客とも顔見知りになる。これなら、寅子たちが新潟を去る日が来ても、寂しくない。
また、先週から動きのあった航一から寅子へのアプローチ。涼子の店で顔を合わせ、航一は弁護士の杉田(高橋克実)が主催している麻雀大会へ顔を出しに行こうと寅子を誘う。やんわり断ろうとする寅子にめげない航一。
目的が麻雀大会への参加ではなさそうなことは誰の目にも明らかなのに、寅子だけがそのことに気付かない。こういうところは、相変わらず察しが悪い。
結局、優未(竹澤咲子)も連れて行くことで納得した寅子。ところが、寅子と優未の姿を見るなり、杉田が号泣してしまう。杉田は、空襲で娘と孫を亡くしていたのだ。寅子と優未が、2人の姿に重なったという。「熱かっただろう」と泣き続ける杉田。
「あの戦争で苦労しなかった人なんていない」という涼子の声が、また聞こえてくるような気がした。もしかしたら、こうやって定期的に麻雀大会を主宰することも、彼が口癖みたいに繰り返していた「持ちつ持たれつ」も、“寂しさ”を埋めるためのものだったのかもしれない。
そして、そんな杉田を、航一は“寂しさ”に共鳴したみたいに躊躇いなく抱き締めた。妻を早くに失った経験がそうさせたのだろうか。いや、それ以上に何かがありそうだと思わせる。謎めいた表情をつくって見せる岡田将生の芝居に、来週がますます楽しみになった。
(文・あまのさき)
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