籍を入れずに”内縁関係”となることに
結婚についての話がなかなか進展しないなか、寅子たちは轟たちの集まりに参加。そこで、バーのままをしている山田(中村中)と対面する。山田は、性転換の手術を受けていると自己紹介した。
この時代にもそういった手術ができたことに驚いた。そしてそれはきっといまよりもずっと危険なものだったことだろう。だからこそ、山田が優未に言った「女の人になるためにがんばったことある?」という言葉が重くのしかかってきた。
これは決して嫌味などではない。生まれ持ったもので人を定義することの危うさ、こうありたいと思う姿であるために理由が求められる理不尽さ、自分にとっての“普通”になるためにがんばらないといけない苦しさ……そういったものを、やんわりと伝えるために必要な言葉だったように思う。
自分が曲げたくないものを折るって、自分も相手も傷つける。
ここに至ったとき、航一は寅子に結婚をやめようと提案する。どちらかが名字を変えなければならないことに、自分や周りを含めて少しでも抵抗感があるのならば、その道は選ばない。でも同時に、この人は自分が愛している人です、と世間には紹介したい。折衷案として、2人は遺言書を取り交わし、内縁関係になることを決めた。