”発芽玄米”こと小橋(名村辰)の名言
また、今週は久しぶりの小橋(名村辰)の登場も話題になった。
直明(三山凌輝)に頼まれて、学生向けに開催した勉強会を手伝ってくれた小橋。そこで、なぜ女は働かなくていいのに働くのか?と尋ねた生徒に対し、小橋は共感の姿勢を示す。
「できる男とも比べられて、がんばらなくてもいいのにできる女とも比べられる」ことのしんどさ。だが、そのうえで小橋は「その怒りを向けるとき、弱そうな人を選んでいないか?」と尋ねる。
存在を軽視されがちな平均の人。小橋はその辛さを、身をもって体感してきていた。これまでいけ好かない態度も多かったけれど、小橋だからこそ共感できる人というのはむしろ多いのだろう。
「見てくれる人はいる」という言葉がとても力強い。やっぱり、人は見られたい生き物なのだ。
そして意外だったのは、この頃から寅子のような働く女性たちが産休・育休に対する制度を整えようと奮闘していたこと。だが、令和になってなお十分に整っているとは言い難い。桂場(松山ケンイチ)は「時期尚早」と言ったが、その時期がくるのを待っていたら、いま一体どんな状態だったのか。
寅子の後輩・秋山(渡邉美穂)は妊娠により職場を離れることを嘆き、研修で同期だったよね(土居志央梨)は「社会を変えると豪語していたのに」と呆れたが、秋山の妊娠があったからこそ、寅子もああやって具体的に動いたのだ。
彼女自身の手で、ではないにしろ、社会を変えていく動きを起こすきっかけはつくった。何も恥じることはないし、誇りをもってぜひ職場復帰を果たしてほしい、と思う。
次週はついに原爆裁判が描かれる。21、22週がポップな内容が多かっただけに、一転して様々なことを考えさせられる日々になるだろう。被爆国・日本に生きる1人として、しっかり見届けたい。
(文・あまのさき)
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