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改めて傑作だった…”地獄”を生き抜いた伊藤沙莉”寅子”が迎えた最高のラストとは? NHK朝ドラ『虎に翼』考察レビュー

伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』が惜しまれつつも最終回を迎えた。。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。今回は最終週のレビューをお届けする。 (文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

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【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

改めて傑作だった『虎に翼』

連続テレビ小説『虎に翼』第26週
連続テレビ小説『虎に翼』©NHK

 ついにやってきてしまった「虎に翼」の最終週。長いようであっという間の半年間だった。賛否がわかれている部分があることも承知しているが、それでも最後まで観て、改めて傑作だったと思う。

 寅子(伊藤沙莉)が新潟で勤務していた頃から宙ぶらりんの状態になっていた美佐江(片岡凛)の問題が、時を経てようやく解決した。美佐江自身はすでに亡くなってしまっていたが、娘の美雪(片岡による二役)が、母と同じく窃盗教唆と売春防止法違反で送致されてくる。

 美雪は、どうして人を殺してはいけないのか?と寅子に問う。美佐江と同じだ。容姿や知能、人の心を掌握する力に恵まれ、美雪もまた自分を“特別”だと思っている。そんな彼女に寅子は、奪われた命は元には戻せないからこそ尊く、人を殺してはいけないと本能で理解しているのだと話す。そして、美佐江を恐れてしまった自分の過ちを謝罪する。

 そばで聞いていた音羽(円井わん)の言う通り、寅子がそこまで背負う必要はないのだろう。それでも、だからこそ、母は“特別”だったと食い下がる美雪に寅子の言葉が届く。

「彼女が特別だったかどうかはわからない。わたしたちは、永遠に美佐江さんを失ってしまったから――」

 きっと美雪が1番母に生きていてほしかったはずだ。生きている母を、直接感じたかったはずだ。その場では納得はしてもらえなかったが、半年間の施設での暮らしにより、徐々に更生していったのだろうことが伺える。

 このやり過ぎなくらいの寅子たちの寄り添いは、少年法改正審議会の話し合いも軟化させた。寅子が「愛について話しませんか?」と持ち掛け、立ち上げから家庭裁判所に携わってきた汐見(平埜生成)や小橋(名村辰)、稲垣(松川尚瑠輝)が「愛」と繰り返す。殺伐とした会議室が一気に温かい空間に。本人こそ不在であるが、多岐川(滝藤賢一)の精神がここに生きていた。

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