戸塚純貴”轟”の株が急上昇… たどり着いた「漢らしさ」の答えとは? NHK朝ドラ『虎に翼』考察&解説レビュー
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士になった人物の情熱あふれる姿を描く。第4週では、寅子たちは明律大学部法学部に進学し、男子学生との交流が始まるが、少しずつ男性側の苦悩が明らかになる…。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
男性側の”生きづらさ”も描かれた第4週
第4週は「屈み女に反り男?」と題して、明律大学部法学部に進学した寅子(伊藤沙莉)たちの日々が描かれた。
前回のコラムで、寅子やよね(土居志央梨)、涼子(桜井ユキ)など女性たちの苦しみにフォーカスされているものの、優三(仲野太賀)は何度も司法試験に失敗して、涼子の父は華族の婿養子として、相当肩身の狭い思いをしていることを感じさせる描写があったことに触れた。
正直言って今作の主人公は寅子だし、当時の日本でどれだけの偏見のなか初めての女性弁護士となり得たのかだけが語られても不思議ではないと思っていた。つまり、男性たちの苦しみというか、生きづらさというか、そういうものへの言及はこれくらいにとどまるのだろう、と。
ところが、第4週では男性社会を生きる人々の苦しみにまでしっかりとフォーカスされた。
特筆すべきは、寅子たちと同じクラスで学ぶ花岡悟(岩田剛典)と轟太一(戸塚純貴)だろう。花岡は寅子たちにもとても親切で、容姿端麗ゆえに女性にもよくモテる。でも第3週の最後で、やってきた寅子たちを陰でこっそり冷笑していたこと、忘れていないので。そのうちきっと化けの皮がはがれるだろうと思っていたのに、なかなか尻尾がつかめない……。
梅子(平岩紙)の夫で弁護士の大庭(飯田基祐)が講師としてやってきたとき、大庭が梅子の容姿をネタに学生たちから笑いを取るなかで、花岡は一瞬笑いかけたがすぐに真顔に戻っていたし、大庭相手に物怖じせず意見する寅子に対して「意見をしているときの猪爪くん(寅子)を見ているの、好きなんだよね」と言う。つかめないし、食えない人。
ただ、やっぱりだんだん様子のおかしいところは見て取れる。寅子たちがいないところで恋文を渡しに来た女性を冷たくあしらい、寅子たちがいないところで男子学生を相手に「女は優しくするとつけあがる」だなんて言う。こっちが花岡の本心なのだろうか、だとするとなかなかに感じの悪い奴だ。だいぶ嫌い。