寅子の父が贈賄容疑で逮捕
轟の言葉を受けて、花岡は寅子との口論のきっかけになった梅子に謝罪に行く。そしてそこで、女性をわざとぞんざいに扱っていたこと、梅子の長男が通う帝国大学の学生に対する劣等感に苛まれていたことを吐露する。男性のなかで舐められないように、男性はこうあるべきというテンプレートを踏襲してしまっていた花岡。
だけど、彼は「こんな人間になりたくない」し、「どれも本当の自分じゃない」と話す。20代の前半にして、自分のなかに存在する矛盾にここまで向き合える花岡を応援したい。いや、それ以前に、こんな若者にここまでの重荷を背負わせてしまう社会に蔓延る“男らしさ”って、どこまで根深いんだろう。
花岡の吐露を聞いていた梅子は、「持っている顔はひとつじゃない」「演じているだけでも全部花岡さんなの」「本当の自分に近づけるように」と花岡を励ます。花岡の頬を伝う涙は、彼が変わっていく第1歩。
明律大学法学部は男女共学となっていることで、法律を学ぶ場としてだけではなく、男子学生と女子学生の交流を通じて目まぐるしく価値観を変化させる場ともなっている。ここで様々な気付きを得ていく人たちが今後法曹の世界に飛び込んでくれるなんて、こんなに頼もしいことはない。圧倒的学力の帝大とは違う強みが、花岡にも轟にも身につくはずだ。劣等感を持つより、そういうところに胸を張ってほしい。
温かい気持ちになっていた第4週だったが、最後に物語が大きく動く。寅子の父・直言(岡部たかし)が贈賄容疑で逮捕されてしまった。家宅捜索され、その日以降、寅子は大学へ行くことができない。辛い日々の始まりを予感させるが、花岡と穂高教授(小林薫)が寅子たちのために動き出しそう。
次回からは、いよいよ学んできた法律を実際に盾として使っていくことになるのだろうか。酔っぱらって「トラが幸せだったらなーんでもいいよ」と言う優しい直言が、無事に帰ってきてくれることを祈る。
(文・あまのさき)
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