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判決は全員無罪に

連続テレビ小説『虎に翼』©NHK
連続テレビ小説虎に翼©NHK

最終的に直言は罪を否認。傍聴していた竹中までもが、これを喜んでいたのが印象的だった。もちろん検察は予審での自白を理由に自分たちの主張の矛盾を認めない。だが、裁判官たちと並んで高いところからふんぞり返る検察にひるむことなく、穂高は論を積み上げていった。

結果、直言をはじめとする贈収賄事件の容疑者たちは全員無罪に。法律が強い者を守るためのものではなく、正しい者のためにあるのだということが鮮やかに証明された瞬間だった。

寅子とはある種、因縁の相手である桂場(松山ケンイチ)の判決文、「水中に月影を掬い上げようとするがごとし……」という表現が印象的だ。ないものをさもあるように見せようとする愚かさ、傲慢さ。流麗な表現だが、桂場の静かな怒りが伝わってくるようだった。

桂場にお礼を言おうと、甘味処で待ち伏せる寅子。そして、「法律は綺麗なお水が湧き出ている場所」と自らの考えを述べる。ぜひ多くの人に届いてほしいセリフだった。

「きれいなお水に変な色を混ぜられたり汚されたりしないように守らなきゃいけない」。

これは、桂場が裁判のあと穂高に吐露した「私利私欲で踏み込んできた、司法の独立もわからぬ馬鹿ども」に向けられた怒りと通ずるところがある。

2人は、似ている。少なくとも桂場はそれに気づいた。だからこそ、寅子に裁判官になりたいのか、と尋ねたのだ。桂場の微笑みが、なんとも美しかった。

(文・あまのさき)

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