本作が伝えたかったメッセージ
「ママが死んだ日も、おにぎり食べたの。海ちゃんがいるから。生きなきゃいけないから」
朱音の言葉に、本作が伝えたかったメッセージが込められていたように感じる。
人生って、ときに苦しくて、というか苦しいことの方が多くて、幸せを感じる瞬間の方が少なかったりする。どん底にいるときは、「苦しみがないと、幸せを感じられないからね」なんて励まされても、「そんなポジティブに考えられるなら悩んでないわ!」と思ってしまったり。
でも、どん底にいるときでも、ちゃんとごはんを食べようと思った。辛くてしんどくてどうしようもないときは、行儀が悪くてもいい。横になりながらでもいいから、生きていくためにごはんを食べる。
生きていくために…と思えないときは、「娘が自分より先に死ぬことを想像してみて。わたしたちはね、娘の遺影を選んだの。それがどれだけ辛いか」と言いながら、涙を浮かべていた朱音の姿を思い出して、どうにか踏ん張ってみる。
親がすでに他界している人は、水季が亡くなって苦しんでいる津野の、海の、そして夏の顔を思い出してほしい。