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本音と我慢の違いを伝える有村架純の演技力

『海のはじまり』第2話より ©フジテレビ
『海のはじまり』第2話より ©フジテレビ

 堕胎で身体を傷つけた弥生は、命の存在を肌で感じたはずだ。その一方で、弥生の当時の彼氏は、堕胎に対する現実味もなく、「この先、妊娠できなくなったらどうしよう」なんて悩むこともない。

 お金を払ったら、そこでおしまい。きっと、エコー写真をながめることもない。夏のように“自分が殺した”という罪悪感を抱き続けている男性は、果たしてどれくらいいるのだろうか。

 弥生は、夏が自分以上に命の重みと向き合っていると思ったからこそ協力したいと思えたし、「もし、月岡くんがお父さんやるってなったら、私がお母さんやれたりするのかなって」と言えたのかもしれない。

 弥生は、“大丈夫”が口癖だ。夏に娘がいたことが分かったときも、「大丈夫」と言っていたし、実の母親に堕胎の連絡をしたときも「大丈夫」と繰り返していた。きっと、他人に弱みを見せたりするのが苦手なタイプなのだろう。

 ただ、これまでは、口では「大丈夫」と言っていても本当は大丈夫じゃなさそうに見えていたが、海のお母さんになることを立候補したときは、いつもとは違い心の底からの明るさを見せていたように思う。きっと、自分の進むべき道がひらけたような気分になったのではないだろうか。

 「私がお母さんやれたりするのかなって」という言葉は、夏に対する遠慮や自己犠牲からくるものだという可能性もあるが、そうではないのがわかるのは有村架純の演技力の賜物。弥生を演じているときの有村は、声のトーンや表情を使い分け、本音で言っているのか、それとも我慢して言っているのかを視聴者にわかりやすく伝えてくれる。

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