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目黒蓮”夏”の手つきが優しすぎる…頼りない存在なのになぜか癒されるワケ。ドラマ『海のはじまり』第5話考察&評価レビュー

text by 菜本かな

目黒蓮主演の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)は、名作『silent』の制作チームが再集結し、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品だ。人と人との間に生まれる愛と、そして家族の物語を丁寧に描く本作の第5話の考察レビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

なぜ弥生(有村架純)は夏(目黒蓮)に惹かれたのか?

『海のはじまり』第5話より ©フジテレビ
『海のはじまり』第5話より ©フジテレビ

 よく、「子どもは親を選んで生まれてくるのよ」なんて言葉を耳にすることがあるが、果たしてそうだろうか。個人的には、そんなわけがないと思ってしまう。もしも、自分に合う親を選ぶことができるのなら、この世界に親との関係で悩む人はいないはず。しかし、“親ガチャ”という言葉もあるように、家庭環境によって人生が大きく変わってしまうのも事実だ。

 素敵な親がいれば、“毒親”と言われるような親もいる。それなのに、「親は大事にするべき」「恋人にするなら家族を大切にする人がいいよね」という価値観は、当たり前で尊いものになっていて。だからこそ、弥生(有村架純)は、親を愛せないことに罪悪感を抱いてしまっているのだろう。

 正直なところ、弥生はなぜここまで夏(目黒蓮)に固執するのか? と疑問が拭えない部分があった。夏は、優しい人ではあるけれど、かなり頼りない。弥生の複雑な心境を読み取れるような思慮深さもない。だからこそ、水季(古川琴音)のように思っていることはズバッと伝えて、グイグイと巻き込んでいくタイプとは相性が良かったのだろう。言いたいことを言えずに抱え込んで強がってしまう弥生は、夏と一緒にいると苦しくなってしまうだけなのでは…と思った瞬間もあった。

 しかし、『海のはじまり』(フジテレビ)第5話で、夏が弥生に「嫌いでいいよ。親だって人だし」と声をかけたとき、すべての謎が解けたような気がした。きっと、夏はこれまでも、弥生が幼少期から抱えてきた心の傷に優しく寄り添ってきたのだろう。無理に聞き出したり、その傷を引っ張り出すようなことはしない。弥生がポツリポツリと話し始めたときに、優しく包み込んできたのだと思う。

 三つ編みをしてくれるとき、すごく早くて痛くて“作業”みたいな感じだった弥生の母。対して、夏は弥生の髪で三つ編みの練習をしていたとき、「痛くないか?」を気にしすぎて、ゆるゆるの仕上がりになっていた。親は選ぶことはできないけれど、結婚相手は自分の手で選ぶことができる。弥生にとって、優しすぎるくらいに優しい夏は、過去のトラウマを払拭してくれる居心地の良い相手なのだろう。

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