池松壮亮の本気の芝居に飲みこまれる…『silent』”奈々”との共通点とは? 『海のはじまり』第7話考察レビュー
text by 菜本かな
目黒蓮主演の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)は、名作『silent』の制作チームが再集結し、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品だ。人と人との間に生まれる愛と、そして家族の物語を丁寧に描く本作の第7話の考察レビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
津野(池松壮亮)の気持ちが痛いほどよく分かる…。
『海のはじまり』(フジテレビ系)第7話は、生前の水季(古川琴音)を支えてきた津野(池松壮亮)にスポットが当たった回だった。
生方美久脚本の魅力は、登場人物それぞれの気持ちに共感できるところにある。ヒール役となる人物はいても、生粋のヒールはいない。
序盤は、夏(目黒蓮)に何かとマウントを取ってくる津野にイライラする部分があったが、第7話を観て彼の気持ちが痛いほどよく分かるようになってしまった。
「僕の方が、悲しい自信があります」。そう言えるだけの悲しみを、彼はずっと感じて生きてきたのだ。
津野の振る舞いは、『silent』(フジテレビ系)の奈々(夏帆)を彷彿とさせる瞬間がある。水季がいちばんしんどいときに寄り添ってきた津野と、心を閉ざした想(目黒蓮)の孤独を優しく包み込んであげていた奈々。
しかし、2人とも圧倒的な主人公を前にすると、途端に脇役・外野に転じてしまう。津野は、海(泉谷星奈)の実の父である夏が現れた瞬間に、“父親がわり”ではいられなくなり、奈々は想と紬(川口春奈)が再会した時点で、“いちばんの理解者”ポジションでもいられなくなってしまった。