目黒蓮”夏”の怒りに震える…どんどん苦しくなる展開、唯一の癒しとは? ドラマ『海のはじまり』第8話考察レビュー
text by 菜本かな
目黒蓮主演の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)は、名作『silent』の制作チームが再集結し、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品だ。人と人との間に生まれる愛と、そして家族の物語を丁寧に描く本作の第8話の考察レビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:菜本かな】
メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。
夏の実父・基晴(田中哲治)は最低の父親?
夏の実の父親・基晴(田中哲治)が初登場した『海のはじまり』(フジテレビ系)第8話。最初は、基晴のことを最低な父親だと思ってしまった。
夏がせっかく海(泉谷星奈)を連れて会いに来てくれたのに、そっけない態度を取り、挙句の果てには「育ててなくても、血が繋がってる親は子どもを想って、離れても愛し続けてるにちがいないって期待しちゃったの? 残念だったね、育ててない親なんてしょーもないって分かっちゃったね」なんて、夏の怒りを煽るような言葉を言い放つ。
でも、だんだんと彼の人間性に触れていくうちに、これって不器用な優しさなのでは? と思えてきた。
基晴は、元妻のゆき子(西田尚美)が再婚したことを知っており、夏には新しい父親・和哉(林泰文)がいることも分かっている。だからこそ、夏の前では“いい父親”ではなく、“しょーもない父親”であろうと思ったのではないだろうか。
もちろん、子育てにあまり協力的ではなかった基晴を褒めるつもりはない。ただ、もしも基晴が素敵な父親を演じていたら、夏は「やっぱり、実の父親はいいな」と感じてしまうかもしれない。それでも、ゆき子は基晴と再婚をすることはないし、今さら夏の“お父さん”をやり直すことはできない。
ならば、夏を突き放して悪者になることこそが、自分ができる精一杯の償いだ…と思ったとすれば。そう考えてしまうのは、弥生(有村架純)が言っていたように、「(親に)1回幻滅したくらいで、諦めつかない」からだろうか。