目黒蓮が見せる“彼氏”として2つの表情
“今日まで”は恋人と言い、終電が来るまで駅のベンチに座り、何でもない話を楽しんだ夏と弥生。別れる直前、「俺、やっぱり弥生さんのこと…」と言い出した夏の言葉を遮って、「頑張れ」と突き放したところに、弥生の強さを感じた。
夏を演じている目黒蓮は、“彼氏”として2つの表情を見せている。同級生の水季と付き合っていたときは、どこか大人っぽい雰囲気を纏っていた。水季が無邪気にはしゃいでいるのを、「もう、危ないよ」と言いながら見守っている感じ。
しかし、弥生の前ではあどけない年下彼氏の表情になる。別れ際、弥生に見せたすがるような涙は、水季の前では見せたことがないはずだ。
それにしても、弥生が電車に乗って去っていったあと、“捨てられた子犬”のようになっていた目黒蓮の演技がリアルすぎた。魂が抜けたように立ち上がり、よろよろと歩き出すその背中が、とても小さく感じて胸が締め付けられた。
長年付き合っていた恋人と別れるときって、こうなるよな…と、失恋した経験がある人ならば、誰もが感情移入したであろう目黒蓮の姿。しかし、そのあと、南雲家に行ったときには覚悟を決めた“パパの顔”になっていて。
「2人で暮らしたいと思ってます。いちばん大切にします。ほかの何よりも、絶対に大切にします」と宣言したとき、ようやく“夏くんのパパ”が始まった気がした。
(文:菜本かな)
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