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もはや演技と表現するのもはばかられるほどの池松壮亮の名演

『海のはじまり』第3話より ©フジテレビ
海のはじまり第3話より ©フジテレビ

 また、津野を演じた池松壮亮の演技に触れないわけにはいかない。夏や弥生と喋る時のようなボソボソと冷淡に言葉を紡ぐ姿は影を潜め、水季といる時の津野は実に“優しかった”。それは単に行動だけではなく、水季を見る目、表情、雰囲気、そのすべてから伝わってくるようで、水季への思いやりに溢れているように見える。

 特に印象的だったのが笑いながら言葉を発するシーン。水季に「晴明」という名前をいじられて「失礼だよ。人の名前に、いくら本人が晴れやかでも明るくもないからって笑うのは」と返したり、一緒におにぎりを作っている時に水季が食べているのを見て「明日の海ちゃんのおにぎりが〜」と言ってみたり…。

 文字面で見てもユニークではあるのだが、池松壮亮というフィルターを通すとそこに幸せという要素も乗っかり、もはや演技と表現するのもはばかられるほどリアルな日常の一瞬を切り出していた。

 水季がペディキュアを落とし、物語はまるで音を立てて行くように「恋のおしまい」として収束。その一方で「恋のはじまり」として夏と弥生の交際前の様子も描かれ、残酷なまでに美しい締めくくり方となった。これまで明かされなかった津野の背景も含め、何度でも見たい特別編を作り出した制作陣には最大級の賛辞と感謝を贈りたい。

(文:まっつ)

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