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誰の視点に立つかで“善悪”が変わる

『海のはじまり』第4話より ©フジテレビ
『海のはじまり』第4話より ©フジテレビ

 『海のはじまり』特別編で、水季が吐露した「2人きりになりたいなぁ、子ども邪魔だなぁ、この子じゃなくてこの人との子どもほしいなぁってなっちゃうの、怖いんですよ」という本音は、いまの弥生の葛藤に通ずる部分があると思う。

 海のお母さんになることを決めても、夏と別れる道を選んだとしても、どちらにせよ辛い感情は残ってしまう。でも、“どちらを選択しても、それはあなたの幸せのため”だから。幸せに続いていると思える方を選択してほしい。

 登場人物それぞれ、誰の視点に立つかで“善悪”が変わってくるのが、脚本家・生方美久のマジックだ。たとえば、『silent』(フジテレビ系、2022)で、想(目黒蓮)に恋心を寄せていた奈々(夏帆)が、紬(川口春奈)に手話でひどい言葉を浴びせたとき。

 紬の視点に立っている人は、「奈々、言い過ぎ」と言っていて、奈々の視点に立っている人は、「そりゃ、そうなるよな」と納得していたのが面白かった。生方脚本のドラマを観ていると、同じシーンでも人によって捉え方が大きく変わるのだな…ということに気づき、価値観が広がっていく。

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