生方作品を観ると自分の価値観を話したくなる
弥生に感情移入をしていた筆者は、『海のはじまり』序盤、津野(池松壮亮)のことが好きではなかった。海に寄り添って頑張ろうとしているときに、「疎外感、すごいですよね。自分は外野なんだって自覚しますよね」と意地悪なことを言ってくるものだから、「いちいち、そんなこと言わんでいいわ!」とムカっとしてしまったり。嫌味な人だなぁ…としか思っていなかった。
しかし、同じシーンを観ていた友人は、「津野くんの気持ち、めちゃくちゃ分かるわ。急に弥生が“お母さんです”みたいな顔をしているのを見たらイラつくと思う」と言っていて、これぞ生方マジックだな…と。
『silent』や『いちばんすきな花』(フジテレビ系、2023)が、SNSでたくさんつぶやかれていたのは、自分の価値観を話したくなるドラマだったからだと思う。『海のはじまり』の投稿を見ていても、人によってまったく意見がちがうから面白い。
さて、終盤戦に突入した『海のはじまり』。本作の登場人物たちも、『silent』や『いちばんすきな花』のように、自分で選んだ道が幸せに続いているはずだと信じて、突き進んでいってほしい。そして、筆者は今から“ロス”になることを恐れている。
(文:菜本かな)
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