ホーム » 投稿 » ドラマ » 「近年稀に見る傑作」若葉竜也のプチ炎上にみる”役者としての誠実さ”とは? ドラマ『アンメット』第1話考察&感想レビュー » Page 3

初回から視聴者の心を掴んだ杉咲花&若葉竜也

©カンテレ
©カンテレ

注目は何と言っても、杉咲花と若葉竜也の再共演だ。NHK連続テレビ小説『おちょやん』では杉咲扮するヒロイン・千代の初恋の相手を若葉が演じ、映画『市子』では恋人役で共演。杉咲が本人役で主演するドラマ『杉咲花の撮休』にも若葉が参加するなど、多数の共演経験がある。

滅多に民放のテレビドラマに出演することがない若葉が今回のオファーを受けたのも、杉咲から「やるよね?」と電話がかかってきたのが一つの理由だそう。制作発表会見でも、「杉咲さんは本当に頼りにできる座長。役者としても人間としても信頼しています」(若葉)、

「若葉くんは人が疑わないようなところを疑って、人が見過ごすようなところに感動や幸福を見つける方だと思っていて。そんな若葉くんの感覚を信じているし、自分にはない視点で作品を捉えてくださるので心強い存在です」(杉咲)と語るなど、互いをリスペクトし合っている。

2人の信頼関係が滲み出ていたのが、ミヤビと三瓶が屋上で話す場面だ。三瓶の後押しで脳外科医として復帰したミヤビ。レナが再発防止と失語症改善のためにバイパス手術を受けることになり、ミヤビも三瓶から助手として参加するように言われるが、自信が持てない。

そんなミヤビに、三瓶は「患者を救えないことより、ご自分の絶望が怖いなら、まあ仕方ないですね」と言い放つ。

患者を危険に晒さないため。ミヤビはずっと自分にそう言い訳してきたが、本当は怖かったのだろう。自分がまだ医者として通用するのかを確かめるのが。三瓶に本音を言い当てられ、ミヤビが屋上で泣きじゃくる姿に胸を打たれた。

自分の障害を受け入れ、淡々と生きているように見えたミヤビが本当はどれだけ苦しんできたのか。三瓶を演じる若葉の敢えて相手の心を揺さぶるような物言いが印象的で、それによって引き出される杉咲の泣きの演技が、ミヤビが事故に遭ってから現在までの1年半を埋める。お互いに安心して身を任せるような2人の演技の応酬に初回からガッチリ心を掴まれた。

1 2 3 4