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『アンメット』を名作たらしめるゲスト出演者の名演に注目

『アンメット』第10話より ©カンテレ
『アンメット』第10話より ©カンテレ

 人気も実力も折り紙つきの俳優陣でメインと脇を固め、良質なエンタメを届ける本作。一方で新たな才能の発掘にも意欲的で、第2話では若葉の提案でオーディションが行われサッカー少年役に新人俳優の島村龍乃介が抜擢された。

 今回は加藤雅也演じる柏木の妻・芳美役に赤間麻里子が起用されている。赤間はベテランの俳優であるが、ここにきて急激に知名度を上げている。

 きっかけは、新進気鋭の映像集団「こねこフィルム」がSNSに投稿しているショート動画。赤間は同集団の看板俳優で多数の動画に出演しており、中でも話題となったのが『年齢確認』というタイトルの作品だ。

 50代の女性がコンビニの男性店員から年齢確認を求められ、激怒。だが、完全に未成年と信じきっている様子の店員に説教され、まんざらでもなくなってくる…という内容である。恥じらいながら店員の言うことを聞く姿が愛らしく、だんだんと17歳の少女に見えてくる不思議な感覚をぜひ一度味わってほしい。

 赤間の演技にはフィクションではなく、現実にこういう人が存在しているのではと信じ込ませる力がある。その本領がドラマでも発揮されており、夫が余命宣告を受けても、自分のことを忘れても、気丈に振る舞う妻の役が板についていた。だが、傷ついていないわけではない。悲しみを取り繕っているのがわかる笑顔に胸が締め付けられるようだった。

 一方で、記憶を失っても心が芳美のことを覚えていた柏木。芳美が食べさせると素直に食事を口に運び、朦朧としながらも「モデルになってもらえませんか?」と出会った時の言葉を発する。その瞬間、抑えていた感情が溢れ、芳美は泣きながら柏木を抱きしめた。

 感情は鈍麻しているが、柏木の頬にも一筋の涙がつたう。ゲスト患者が登場するのは今回が最後とのこと。記憶の喪失にも抗う夫婦愛を体現した加藤と赤間の名演が、その最後を締め括った。

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