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グラデーションのように少しずつ変化していく亮介の心

©カンテレ
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半側空間無視は、脳卒中の後遺症として生じる高次脳機能障害の1つ。特に右脳半球を損傷したときに発症しやすく、左の空間を認識できなくなる。例えば、「左側にある物や人に気づかず、ぶつかってしまう」「右側にあるお皿にしか手をつけない」「絵を模写したときに左側が描けていない」など。

さらに亮介の場合は視覚だけではなく、左の情報を全て無視してしまう症状を患っていた。三瓶が両手を触っているにもかかわらず、「今どちらの手を触っていますか?」と問いかけたときに、亮介が「右手です」と答えていたのはそのためだ。

だが、ミヤビが亮介の父親に語っていたように、この病気は左側が認識できているかどうか判断する脳自体を損傷しているため、本人は認識できていないことになかなか気づけない。周りに指摘され、徐々に実感していく。

ある日、突然左の世界がなくなる。それってどんな恐怖なんだろう。

当初は自分の症状を自覚できていないため、周りも「元気じゃん」と思ってしまうほどにケロッとしていた亮介。しかし、大好きなサッカーの練習で左側が認識できないことに気づき、戸惑い、焦り、苛立ち、怒り、恐怖、絶望と、グラデーションのように少しずつ変化していく亮介の心のうちを島村龍乃介が映し出した。

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