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三瓶がいじらしすぎる

『アンメット』第3話©カンテレ
アンメット第3話©カンテレ

回を追うごとに、三瓶のキャラクターも魅力を増している。印象的だったのは、関東医大の脳外科医・綾野(岡山天音)がミヤビを訪ねてきた場面だ。“森ちゃん”こと、森陽(山谷花純)曰く、ミヤビのことが「めちゃくちゃ好きだった」という綾野。

ミヤビ自身は覚えていないが、綾野は今でも彼女を思っているようで、当然元婚約者である三瓶は心中穏やかではない。あまり感情が表に出るタイプではないが、「あの野郎…ぶっ飛ばします」と鼻息を荒くする三瓶からミヤビに対する愛が溢れ出ていて思わず顔がニヤけてしまった。

「三瓶先生を見て、思い出した気がする」とミヤビに言われた時も、一瞬自分と婚約していた頃のことを思い出してくれたのかと思ったのだろう。若葉が作り出す、ちょっと期待して構える表情が秀逸。ほのかに期待しつつも今のミヤビに寄り添う姿はまるで忠犬ハチ公のようで、星前(千葉雄大)が「いじらしすぎるんですけど……」と思わず抱きしめてしまう気持ちがよくわかる。三瓶が暴走しないようにそれとなく星前がリードを握っている名コンビぶりも最高だ。

一方で、綾野の人たらしだけど、底が知れない感じもまたいい。おそらくだけど、麻衣(生田絵梨花)は愛のない政略結婚と口では言っているけど、本当は綾野のことがずっと好きだったんじゃないだろうか。

そう考えると、星前にミヤビのMRI画像を貸してほしいと頼まれ、大迫の指示で貸せないと嘘をついて断ったのも納得がいく。麻衣はミヤビの記憶が戻ったら、綾野と以前のように“いい雰囲気”になると思っているのだ。だけど、ミヤビは三瓶の婚約者だったのに、綾野といい雰囲気だったというのはどういうことなのだろう。

MRI検査の結果、ミヤビの脳に記憶障害となる原因が見当たらなかったのも気になるところ。もしかしたら、ミヤビの記憶に蓋をしているのは思い出したくない過去なのかもしれない。そしてその過去に関わっているであろう、ミヤビ×三瓶×綾野×麻衣の四角関係からも目が離せない。

(文・苫とり子)

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