三瓶と綾野の対立の行方
もう一つ言及したいのが、三瓶と綾野(岡山天音)が対峙する場面。ミヤビの治療方針について大迫(井浦新)と対立する三瓶は、綾野にミヤビの診療記録を見せてほしいと頼みに行く。だが、それはできないと拒否する綾野。
そんな彼に、三瓶は「川内先生の記憶障害を治したいと思いませんか?」「ほんとはまだ思いがあるんじゃないですか?」と揺さぶりをかける。
その時、交互に映し出されるのは2人の手だ。本心を隠すかのように手を組む綾野に対し、両手を開いた三瓶には迷いが一切感じられない。ただ、ミヤビの記憶障害を治すということだけに意識が向いている三瓶。
そのためなら恋敵である綾野にも頼る。ミヤビが何度も忘れて差し入れに頻繁に持ってくるロールキャベツも、何も言わずに食べる綾野のさりげない優しさが毎回刺さって仕方がない。
一方でやはり気になるのは綾野がミヤビへの思いを断ち切ろうとしている理由だ。事故以前からミヤビのことを思っているのであれば、彼女が三瓶との婚約の事実を忘れている今の状況はある意味チャンスとも言える。
いくらでも付け入る隙はあるはずなのに、麻衣(生田絵梨花)と結婚して西島医療グループに婿入りしようとしているのは何故なのか。
そんな中、大迫がミヤビに処方した薬が意味深に映し出される。もしその薬がミヤビの記憶障害に関係していて、綾野が自分を犠牲に彼女を救おうとしているのだとしたら、あまりに切ない。
(文・苫とり子)
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