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快進撃をもたらした専門性とエンタメ性の両立

『アンメット』第8話より ©カンテレ
『アンメット』第8話より ©カンテレ

 これまでは綾野との結婚を焦るそぶりを見せていた麻衣。綾野が過去に3回もミヤビに告白したこともあり、麻衣はミヤビの記憶障害を治そうとする三瓶を邪魔したこともあった。

 そんな麻衣が一転、結婚を取りやめにしたのは、ひとえに綾野のためだ。綾野が自身の専門であるカテーテルを、勲も過疎地医療を続けられるように、祖父の秀雄と自ら交渉し、滝川病院の息子と結婚することを条件にそれを認めさせた。

 口では政略結婚と言いながらも、麻衣は本気で綾野を愛していたのだ。彼がやりたいことをやれるのなら、自分は身を引いても構わないと思えるほどに。

 綾野も、麻衣が「ミヤビちゃんのことがそんなに忘れられない?」と憤慨した時からもしかすると…と思っていたが、麻衣が自分の両親に手紙を送り続けていたことを知り、確信に変わる。彼女が綴った言葉には、患者のためにカテーテルなどの最新医療と向き合う綾野への尊敬の念が込められていた。

 綾野もまた麻衣のことを憎からず思っていたのではないだろうか。ミヤビの記憶を呼び起こすためにかつて2人で行った美術館を訪れた際も、綾野が自然と麻衣の名前を出すのが印象的だった。

 麻衣が椅子の上におたまが置いてある絵を1時間も眺めていたことを振り返り、「ずっと見てたら、何か俺もいいなとか思えてきちゃってさ」と語る綾野。それだけの会話で2人が一緒に積み重ねてきた日々が目に浮かぶ。きっとそうやって、彼らはお互いを少しずつ理解し合ってきたのだろう。

 綾野は、「私、記憶が繋がらなくて一つだけいいなと思うことがあって。今の気持ちがわかること。積み重ねがないから、直感で余計なこと考えずに今の自分の思いがわかるんです」というミヤビの言葉にハッとする。彼はたしかに、ミヤビのことが好きだった。綾野はその過去に執着しているだけで、本当は麻衣に惹かれていたのかもしれない。

 ようやく自分の気持ちに気づいた綾野は、麻衣の元へ。「俺は麻衣を誰にも渡したくない」と告白し、「一緒に自分の人生を生きよう」と改めてプロポーズする。そして、病院のロビーで抱き合う2人。これにはSNSが大盛り上がりし、視聴者から祝福の声が多数上がった。

 高次脳機能障害のリハビリの大変さや過疎地医療の現実など、今回も真摯に医療というテーマをなぞりつつ、綾野と麻衣による珠玉のラブストーリーを届けた本作。打算的に思えた2人が、何があっても一緒なら大丈夫と、「綾野病院もカテーテルも結婚も諦めない」というある種の理想論に行き着くところに最高の萌えがある。

 専門的かつシリアスな舞台設定とエンタメ性の両立を一丸となって模索し続けるスタッフとキャストの努力が、日本&世界トレンド1位という結果に繋がっているのだ。

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