ホーム » 投稿 » ドラマ » 海外でも大絶賛…その理由は? 稀有な魅力を改めて深掘り。ドラマ『VIVANT』徹底考察。続編の展開&福澤克雄演出も解説 » Page 4

ロケ地だったモンゴルでも
『VIVANT』フィーバー!

バルサラハガバ・バトボルド『VIVANT』第1話より(C)TBS
バルサラハガババトボルドVIVANT第1話よりCTBS

物語の真相を予想する「考察」が大きな魅力でもある『VIVANT』だが、注目すべきはストーリーや登場人物だけではない。

その世界観は独特で、長期にわたりモンゴルロケでは、大きく広がる砂漠に乃木がスーツ姿で取り残されるという、一見、ミスマッチなシーンによって、第1話からいきなりその壮大さが伝わる作品となった。

ロケ地となったモンゴルのオフナー・フレルスフ大統領も、国連総会中の岸田首相とのワーキングランチの場で、同ドラマを話題にし、両国の相互理解や観光交流強化につながることへの期待を表明し、同国での放送開始を待ち望んでいた。

モンゴルの配信サービスでも放送が開始され、第1話で日本大使館を目指し憂助、野崎(阿部寛)、柚木(二階堂ふみ)、ドラム(富栄ドラム)が、チンギス(バルサラハガバ・バトボルド)をはじめとするバルカ警察の追っ手から逃れ、車の上を疾走しながら、命からがら日本大使館に飛びこむシーンが撮影されたモンゴル・ダルハンの道路は「VIVANT通り」と命名されるなど、同国でフィーバーを巻き起こしている。

その評価はモンゴルのみならず、フランスのカンヌで毎年10月に行われる世界最大級のコンテンツ見本市「MIPCOM」で、番組バイヤーが買いたいドラマを選ぶ「BUYER‘S AWARD for Japanese Drama 2023」のグランプリに輝き、欧米の番組バイヤーからも絶賛されたことで、多くの国で放送されることになりそうだ。

その背景として、赤飯や饅頭、もんじゃ焼きなど、日本の食文化が前面に押し出されているシーンや、日本刀などのアイテムが登場している点。

そして、バルカ共和国の描写も、広大な砂漠のみならず、政情不安定で賄賂天国の政府、跋扈するテロ組織の存在、加えて、宗教対立による内戦などの歴史が、現在、パレスチナ国民の支持を受けたイスラム武装組織「ハマス」によるイスラエルへの攻撃に端を発したガザ紛争を連想させることも要因にあると考えられる。

前述したが、こうした現実社会とフィクションの狭間が曖昧である点で、より考察のしがいがあり、それが当たっていようが外れていようが、その考察を超えてくるストーリー展開が、視聴者をクギ付けにしたともいえよう。

1 2 3 4 5 6
error: Content is protected !!