父と別れるのは、ノコルの方?
続いて、この壮大なストーリーは、どういった結末を迎えるのかを検証したい。
まず予想される線は、実はフローライトの鉱脈がある情報をバルカ政府にもたらしたのはノコル(二宮和也)自身だったのではないのかということだ。
ノコルは、乃木がベキの実子であることが分かった時から、乃木を敵視し続け、邪魔な存在と感じていた。ならば、ディープフェイクを用いて動画を捏造し“裏切り者”としてでっち上げ、粛清の対象とすることなど容易だろう。
しかし、一連の行為がベキに見破られたとしたら、ベキは乃木を許し、逆にノコルを粛清する可能性がある。ノコルにとってベキは育ての親であり、さすがに殺害することはないだろうが、テントからの追放という結末は十分に考えられる。
仮にその場合、テントという組織はどうなっていくのか。フローライトの鉱脈を手に入れさえすれば、今後、テロなどの“汚れ仕事”をしなくとも、孤児院の運営が可能となる。よって、テロ組織の看板を下ろし、資源開発と孤児院の経営に専念できる。ベキにとっては、長年の希望が叶う形だ。
加えて、乃木とともに捕らえられた黒須がなぜここまで殺されずに、しかも傷の手当てまで受けているのかという疑問があった。が、黒須の表の職業は「JKT資源開発」なる会社に勤務し、地下資源の探査掘削の研究開発を行うエンジニアであることから、フローライトのプラントに携わせる算段があったのではないかとも考えられる。
乃木らとともにテントは「平和企業」として生まれ変わり、対してノコルはベキと袂を分かち、バトラカ(林泰文)、ピヨ(吉原光夫)らを引き連れて、新たな組織を誕生させる。冒頭の番組説明にあった「親愛なる父との別れ…」が、ノコルに対して向けられた言葉だとすれば、辻褄は合う。