ミコの後悔と2人が関係している過去の事件
ミコは弟の人権派弁護士・慧(染谷将太)のアドバイスを受け、「前提」に立ち返ることで事件を解決した。そして、この殺人事件自体、よっちゃんがチョロの自分に対する思いという「前提」を正しく理解していれば、起きなかったかもしれないものだった。
1話に引き続き、今回もミコは犯人に「もがき続けたら絶対にリスタートできる、かもね」と伝えた。しかしここでより気になったのは、自分の満足と客の満足に関する会話の中に出てきた「私は後悔してるけどな〜。自分が満足してない作品を出版したこともあるから」というミコの言葉だ。
それはおそらく1話で森野がこきおろした5年前の著書『殺しても好きな人』のことだろう。そのミコの後悔は、いまの状況に影響を与えていそうだ。
ラスト、森野に対する興味を深めたミコは、慧に森野のことを電話で伝える。そこで慧が持ち出してきたのは「黒羽ミコ著『歪な十字架』模倣事件」の記事や資料。そこには捜査に関わった者として森野の名前があった。
『歪な十字架』といえば、森野の自宅本棚に唯一2冊並んでいた小説だ。あるいはこの事件が、二人のイップスに深く関わっているのだろうか。
今回も森野の呼ばれた新しい事件がどうやらマジシャン殺人事件だったり、カラオケに1話にもあった「世界の中心で愛をケバブ」のほか、「通年恵方巻き」「歯に詰まらない焼きとうもろこし」のポスターが貼ってあったりと小ネタがたくさんあった。そもそも、悪童チャンネルの動画があれだけあるのも、かなり手が込んでいる。
冒頭、ワイドショーに出演したミコは言った。「若者のテレビ離れとか、意識しすぎだと思うんだよね。自分たちが面白いと思うものを作ればいいの」。このドラマがその志で作られていることは、端々から伝わってくる。
(文・釣木文恵)
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