ゆりやんの声がすごい! 松本香とダンプ松本の対比
なによりダンプ松本役を務めたゆりやんレトリィバァがすさまじかった。破壊力のあるタックルを見せ、凶器を使って長与千種(唐田えりか)を流血させるなど、リング上での狂気を帯びた姿はヒールレスラーそのもの。ただ、圧倒されたのはリング上だけではない。リング外での松本香としての演技にも目が釘づけになった。
全5話の本作ではあるが、3話のラストで松本香はダンプ松本に変貌を遂げる。輝かしいスター性を放ったベビーフェイス・ジャッキー佐藤(鴨志田媛夢)に憧れてプロレスの門を叩いたものの、自身にはそれが無いことを自覚しながらも必死に抗う。それでも、ヒールになるしかプロレス界で生き残れないことを悟り、ダンプ松本として生きていくことを覚悟する。ゆりやんはその心情の揺れ動きを3話の中で丁寧に演じていた。
また、ゆりやんの声の使い分けには驚愕の一言。松本香時代は甲高く舌足らずで、夢見る少女のような可愛らしい声だった。しかし、ダンプ松本になると声のトーンが一気に変わる。かなり低く、一音一音に重みのあるドスの効いた声になっており、もう松本香はそこにいないのだと嫌でも気付かされた。表情だけではなく声でも松本の覚悟を表現できたのは、ゆりやんの器用さがあったからこそだろう。