松本対長与の髪デス切りマッチの衝撃
改めてプロレス事情に精通していないからこそ楽しめる理由を掘り下げていく。何と言っても、当時を知らないからこそ次の展開がわからないため、「この選手は今後どうなるのか?」「この試合の行方は?」といったことを純粋にワクワクできる。“無知”はネガティブに捉えられがちではあるが、無知だからこそ『極悪女王』の目まぐるしく、激しい展開はスリリングに映った。
中でも、5話の松本対長与の敗者髪切りデスマッチは顕著だ。両者が大量出血しながらも一向に試合は終わらない。頭から血がドバドバ流れている長与に、松本は容赦なく凶器攻撃を繰り返す。ハサミを額に突き刺す時の「ベチャ」という生々しい効果音も恐怖心を煽り、「早く試合を終わらせてほしい」と祈るような気持ちになったが、それと同時に「どっちが勝つのか?」という期待感も膨れ上がった。
もちろん結末を事前に知っていても楽しめたとは思うが、それでも無知で良かったと思うシーンの1つである。