年に一度、中島らも作品を〝しがむ〟舞台『こどもの一生』国木田かっぱが語る、中島らもへの想いとは? インタビュー
中島らもの怪作「こどもの一生」が4月12日(土)より道頓堀・並木座で上演される。構成・演出を担当する国木田かっぱさんにインタビューを敢行。テレビの活躍だけでなく、道頓堀での芝居にこだわる舞台人である国木田さんが「中島らもをしがむ会」を発足するに至ったきっかけとは? 中島らもさんへの想いをお聞きした。(取材・文:田中稲)
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【国木田かっぱ プロフィール】
1985年に劇団「かっぱのドリームブラザーズ」を旗揚げ。97年の解散後は、俳優 、タレント 、リポーター 、ミュージシャンと、マルチに活動中。NHK朝の連続テレビ小説「おちょやん」「ブギウギ」など多数出演。2023年に「中島らもをしがむ会」を発足し、1年に一度、中島らもと自身の誕生月である4月に舞台を上演している。熱狂的なエルヴィス・プレスリーファンでも知られ、道頓堀にて、プレスリーをテーマにしたロックカフェバーUSA☆GIを経営。毎月第2月曜日には、店内でアドリブ芝居「カッパラキン劇場」を開催中。
「大阪の宝が、記憶から消えていく」
「中島らもをしがむ会」を発足のきっかけは
―――「こどもの一生」はこれまで様々な劇団で、何度も再演されています。今回はどのようなことを念頭に置いて、演出されましたか。
「この作品は、1990年、演出家・劇作家のG2さんが、中島らもさんに依頼した作品です。社会に疲れ、様々な精神的な病気を背負ってしまった人が、ストレスがなかったこどもの時代になりきる、という治療法をすることで、驚くような展開が待っている…。それゆえ社会問題や背景などを織り込んだ再演も多いですが、僕は基本的に、中島らも作品は、あまりいじらないでおこう、と思ってるんです。僕が作ったセリフもありますが、それも『らもさんやったらこんなん言いそうやな』とか『ここで絶対こんなギャグを入れるやろう』ということを思い浮かべて作っています」
―――「中島らもの魅力を伝える」が最優先なわけですね。 2023年から「中島らもをしがむ会」を発足し、1年に1回、中島らもさんの作品を企画・上演されています。今回の「こどもの一生」で3作目ですが、発足のきっかけを教えてください。
「まず、『こんなに、らもさんのことを知らん人が多いんや』とびっくりすることが増えたんですね。僕は、当然知ってると思って、バー(自身が経営するロックバー『USA☆GI』)に来てくれたお客さんに、らもさんの話をする。でも、若い人はほとんど知らないんです。ああ、そんなに(らもさんが亡くなってから)時間が経ってるんや、と。
大阪の宝が、記憶から消えていくという寂しさに加えて、自分も当時、60歳になる節目を迎えていて『最近、芝居を主催してないな、何かやらんとボケてしまうわ』いう危機感みたいなものがありました。ならば、らもさんの作品をみんなに知ってもらうことをしたい。そして『この子だったら、らもさんの作品を、受け継いだり再現したりしてくれるんちゃうかな』という若い役者を集めて、舞台をしたのが最初です」