「道頓堀の劇場で、らもさんのお芝居を観る側になりたい」

「こどもの一生」
「こどもの一生」練習風景。

―――小劇団時代の交流は今でも続いているんですね。かっぱさんの劇団『かっぱのドリームブラザーズ』のメンバーも、『中島らもをしがむ会』の作品に連続で出演されています。

「劇団は一応1997年に解散しているんですよ。正直なところ、かなり人気があったと思うんです。関西小劇団大ブームでもあったので、なにをしてもウケる。でも、僕はもっと上手くなりたかった。そこで、一度別の場所に行ってみよう、と思って決断しました。それが、長い期間を経て、『中島らもをしがむ会』でもう一度舞台を作るとなったとき、一緒にやりたいと浮かんだのは、やっぱりかつての仲間で。他の職業についていて、舞台に立つのは10年以上ぶり、というメンバーもいました。 でも、体は覚えているもんですね。何を言わずとも、裏方作業を含め、役割を分担して動いてくれます。みんな、劇団として活動した、当初の気分に戻っているのかもしれません」

―――かっぱさんは、劇団解散後も、タレントやテレビドラマなどで活躍されています。2023年の朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)のギター奏者・三谷役も好評でしたが、ターニングポイントになった作品はありますか。

「うーん、僕にはターニングポイントがないんですよね。舞台もテレビも、僕の芝居を観る人が全員『お客さま』であることは同じ。また、現場リポートも演技の仕事も、見せ方はもちろん違うんですが『言葉を伝える』という意味で、同じと思っています。ただ、芝居がすべての原点となっているので、しっかりと続けていきたい。そこで、今回のような舞台の他にも、毎月第2月曜日には、経営するバー『ロックカフェUSA☆GI』でアドリブ芝居『カッパラキン劇場』を開催しています。これは、お客さまがお酒を飲みながら観ている前で、生で1本の話を即興で作り、届けるというものです。刺激があり、芝居心を蘇らせる機会になっています」

―――個人の活動や「中島らもをしがむ会」で、今後やりたい作品はありますか?

「僕は道頓堀が好きなので、道頓堀で芝居をやりたいんです。でも、肝心の劇場がどんどんなくなっています。去年まで『中島らもをしがむ会』を開催していた道頓堀ZAZAも昨年5月に閉館(新世界に移転)となりました。なんとか、道頓堀にお芝居ができる場が増えてほしいですね。

『中島らもをしがむ会』については、今は『こどもの一生』で頭がいっぱいですが、『自分も中島らも作品をやりたい』という人が増えると嬉しいです。誰かが想いを受け継いでくれて、らもさんの作品を道頓堀で上演するのを、観に行きたい。それが今、僕が 1番望む世界なんちゃうかな」

 国木田かっぱ構成・演出の舞台「こどもの一生」は4月24日(水)まで、道頓堀ミュージアム並木座で上演。関西の精鋭陣が挑む、中島らもダークでイビツな世界を、こころゆくまで〝しがんで〟みてはいかがだろう。体中がピリピリするような、味わったことのない刺激を得られること間違いなしだ。

(取材・文:田中稲)

【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

「こどもの一生 2025」

【作】中島らも
【構成・演出】国木田かっぱ
【出演】国木田かっぱ(かっぱのドリームブラザーズ)
    BOOK克明(かっぱのドリームブラザーズ)
    森崎正弘(MousePiece-ree)
上田泰三(MousePiece-ree)
    早川丈二(MousePiece-ree)
    野田晋市(リリパットアーミーⅡ)
    うえだひろし(リリパットアーミーⅡ)
    江村修平
    福田恵(劇団レトルト内閣)
    さとおがめら(かっぱのドリームブラザーズ)
【舞台監督】サコ
【宣伝美術】中井重文
【制作】渡辺大

※完売日の当日券なし。チケットの確認はこちら

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【了】

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