「僕にとっては純愛映画なんです」
古典的なホラー映画から受けたインスパイア
―――本作を観て、これまでの宇賀那さん作品では見られなかった、サスペンス的な謎解きの要素があったとも感じたのですが。
「その部分は、まさに渡辺さんがいたからこそ生まれたものです。正直僕はサスペンスに興味がないですし、自分で書けと言われても、今でも書けないので、新たな要素が加わったことに感謝しています。とはいえ渡辺さんもサスペンス作品は作っていないのですが」
―――ジャンルレスの映画とのことですが、宇賀那さん個人としては、あえて言うなら、どんな映画だと思っていますか?
「純愛映画だと思っています(キッパリ)」
―――確かに、子供たち同士のいじめのシーンから入り、深刻な社会派な物語と思わせて、その後の展開は純愛と言えば、純愛ですね(笑)。
「いや~、純愛ですよ。でも、海外の映画祭で、例えば、ポートランドでは、そのいじめのくだりが、ある種の教訓として受け取られて、話題になりました」
―――全編に、そのいじめ問題はつながってくるわけですが、受け取る人がどこを重視して観るかが分かれる作品だとも思います。
「それは、まさに狙い通りですね。深刻と言えば深刻。コメディと言えば、コメディ。純愛と言えば純愛(笑)。あと、ホラー要素で言えば、様々な古典ホラーへのオマージュは沢山入れています」
―――仮面の殺人鬼なんて、まさにジェイソンぽいなあと。
「ジェイソンだっていじめられた怒りと母を殺された怒りから自らの正義のために制裁を下している。そう考えると、ダークヒーローの映画でもありますね」