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監督から見た未来のスターの共通点とは

©山梨放送 映画24区
©山梨放送 映画24区

―――千之助さんは初の現代劇、初の主演映画だったそうですが、現場ではいかがでしたか。

「内心は、かなり緊張していたそうです。でも、4歳から歌舞伎の舞台に立っているだけあって、肝が座っておられました。また、周りへの気配りもできる方でした。兄役の鳴海翔哉さん(現 鳴海翔也)と工場で語り合う、とても大事なシーンがあるんです。ロケ車で、鳴海さんが緊張しているのに気づいた千之助さんが、『緊張してる?いいシーンにしようね』と、優しく声をかけたそうですよ」

―――尊い…!

「出演経験の少ない若手が多かったので、千之助さんは、『自分がしっかりしないとみんなが動揺するだろうな』と思ったそうです。座長の責任感、素晴らしいですね。最近では映画『九十歳。何がめでたい』(2024)の若手編集者役がイマドキっぽくて良い雰囲気でした。大河ドラマ『光る君へ』(NHK、2024)の出演や、2025年の舞台『ハムレット』の主演も決まっているので、いろんなことを吸収して、さらに魅力ある俳優になられるんでしょうね」

―――俳優さんたち同士、切磋琢磨されていたのですね。

「うどん部の部長役・藤嶋花音さんは、演技センスがあって楽しみです。部員役・柳明日菜さんも、ご自身による監督作『レイニーブルー』が公開予定で多才な方。母親役の瑚海みどりさんと顧問役の佐藤鯨さんは、味がありましたね。

佐藤鯨さんは、うどん部メンバーに呼び掛けて、脚本にないシーンまで自主トレしてくれていたそうで、感激しました。的場浩司さんも明るいムードで現場を引っ張ってくださり、全員が『短期間だけど、何とかいい映画にしよう』と頑張ってくださいました。タイトルこそ『メンドウな人々』ですが、キャストもスタッフも『すばらしい人々』でした」

―――小芝風花さん、上野樹里さん、堀田真由さん、片岡千之助さんなど、才能あふれるスターの萌芽を見てきた安田監督ですが、彼らに共通点はありますか。

「ポテンシャルの高い方々とのご縁をいただけて、本当にありがたいです。皆さん、演技のセンスはもちろん素晴らしいですが、なにより一生懸命でした。真摯で、前向きで、根性がある。一緒にお仕事していて気持ちがいい。次々にオファーが来るのも納得です」

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『メンドウな人々』はU-NEXTやAmazonプライムなどで配信中。『36.8°C サンジュウロクドハチブ』は配信や再上映を待ちたい。地域の名産と故郷の美しさと、ブレイク寸前のスターたちの瑞々しさは相性抜群だ。再確認する価値がある」

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